西加奈子さん「さくら」(小学館文庫)を読んだ感想。

今年の目標のひとつに「読書」を掲げていました。育休中の主婦です。

Audibleのおかげもあって今年に入って多分50冊以上は読めていると思います。(30冊くらいで数えるのを辞めてしまいました)。

西加奈子さんの作品は「サラバ!」「きりこについて」「さくら」の順に読みました。

どれもおもしろい。大阪弁が心地よく、物事の形容が細かくて目の前に情景が浮かぶ、そんな文章です。

今回「さくら」があまりにも胸に響いたので、感想を記します。

あらすじ

お父さんとお母さんと、かっこよくてみんなの人気者だったお兄ちゃんと、次男のぼくと、美形だけど破天荒な性格の妹と、犬のサクラ。5人と一匹の家族の物語です。

感想

西加奈子さんの文章は「~のような」といった言い回しで物事が細かく形容されていて、「あぁその感じ分かるー!」「何そのおもしろい表現!」と度々クスリと笑わせてくれます。

冒頭では悲しい出来事の末にバラバラになった家族の様子が描かれていて、そこに至るまでの家族の歴史が表現されていますが、犬のサクラを家族に迎えた頃の明るい家族の様子がまぶしくて、冒頭との差に切なくなります。

自分の子ども時代と重ねてみたり、小さい子どもがいる今が後で振り返るともしかしたら一番まぶしい頃になるのかな、と今の家族と重ねてみたり。家族像は違っても共感して胸にちくんとくる人も多いのではないでしょうか。

物語の核心的なところは書きませんが、一番涙が溢れたのは「生まれてきてくれてありがとう」という言葉でした。何度も聞いたことのあるありふれた言葉ですが、でもやっぱり人を愛することの根源は「生まれてきてくれてありがとう」なんだなぁと感じました。

まとめ

読むのが辛くなるくらい悲しい出来事も描かれていますが、愛と優しさのあるお話です。

ぜひ読んでみてください。

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